代表取締役社長 白樫 政孝
永正2年(1505)の創業以来、伊丹から灘へと醸造の舞台を移しながら、剣菱は500年以上にわたり造り続けられてきました。今に至るまでの約500年間、五家におよぶバトンの継承のなか、飢饉や明治維新、戦争、震災といったさまざまな危機を乗り越えてこられたのは、ひとえに変わらぬ味を代々支持していただいているご愛飲家の皆さまのお陰と感謝しております。
さて、かねてより剣菱は、「3つの家訓」を大事にしてまいりました。
一つ目は、「止まった時計でいろ」という家訓です。
流行を追い、流行についていこうとすると、どうしても一歩遅れが生じます。
そして、遅れている時計は、一日に1度として時間が合うことはありません。
しかし、止まっている時計は、1日に2度、ぴったりと時間が合います。
“お客さまの好みは時代とともに移るけど、必ずまた戻ってくる。だから、自分たちが自信を持つ味をしっかりと守り続けなさい”という意味が、この家訓には込められています。
二つ目は、「お客さまからいただいた資金は、お客さまのお口にお返ししよう」です。
お客さまからいただいたお代金には、「またおいしいお酒を造ってね」という思いが込められています。だからこそ、そんなお客さまの思いを大事にし、いいお米を買い、お酒がおいしくなるための手間暇に惜しみなく使わせていただく。それが、二つ目の家訓に込められた思いです。
そして三つ目は、「一般のお客さまが少し背伸びしたら手の届く価格までにしろ」。
原材料にこだわり、手間暇かけて“変わらぬ味”を守っている以上、お米生産者や蔵人たちの技術と労力を“安売り”するつもりはありません。ただ、あまり高すぎて一般のお客さまの日常から離れてしまったのでは、お酒の意味がないと我々は思います。
お酒は、その“味わい”もさることながら、お酒を飲むことで食事がより美味しくなったり、会話がより弾んだりと、お酒を通じてより“楽しいひととき”をお過ごしいただくことにこそ最大の意義があります。同時に、そのようなお酒を提供することが、古来より公家や将軍から庶民まで同じように楽しんでいただいたお酒を今に受け継ぐ我々の使命であると考えています。
私どもは、代々これらの家訓を守るため、昔と変わらぬ味の継承、酒造りやその道具を作る職人の育成、原料米である山田錦や愛山の保存への尽力、酒造りや米以外の部分のコスト削減、安全・安心の向上などに努めてまいりました。一方で、このような方法で酒造りを行う限り、すべての人に美味しいと言っていただけるだけの商品ラインナップを揃えるのが不可能であることも事実です。
それでも、私どもは、剣菱を昔から支持してくださっているお客さま、さらに、これから剣菱を好きになってくださるかもしれないお客さまに対して、時代を超えて守り続けられてきたこの味を、なにより、自分たちが自信を持っておすすめできるこの味を提供し続けるべく、引き続き、愚直に酒造りに邁進する所存でございます。
今後とも、ご愛飲の程よろしくお願いいたします。
社名 | 剣菱酒造株式会社 |
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創業 | 永正2年(1505)以前 |
設立 | 昭和24年12月14日 |
蔵元 | 代表取締役社長 白樫政孝 |
資本金 | 2,100万円 |
事業所 | 【本社】神戸市東灘区御影本町3-12-5 【浜蔵兼瓶詰工場】神戸市東灘区深江浜町53 【精米場】神戸市東灘区深江浜町53-11 【中蔵】神戸市東灘区魚崎南町4-3-21 【魚崎蔵】神戸市東灘区魚崎南町5-9-3 ※酒の販売・蔵の見学は行っておりません。 |
社員数 | 53人(2024年10月現在) |
蔵人 | 約50人(内8人社員蔵人) |
取引銀行 | みずほ銀行・三菱東京UFJ銀行・りそな銀行・三井住友銀行 |
主要取引先 | 三菱食品株式会社 国分株式会社 三井食品株式会社 浅井酒類販売株式会社 |
お問合せ | 078-451-2501 |
永正2年(1505)以前 | 伊丹で稲寺屋が創業 |
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寛保3年(1743) | 津国屋が剣菱を継承 |
明治6年(1873) | 稲野利三郎が剣菱を継承 |
明治42年(1909) | 池上茂兵衛が剣菱を継承 |
昭和3年(1928) | 白樫政雄が剣菱を継承。武庫郡住吉村にて創業 |
昭和4年(1929) | 灘(住吉)に剣菱酒造株式会社を設立(11月1日) |
昭和18年(1943) | 企業統制により4社合併。甲南酒造株式会社を設立。銘柄「百万両」 |
昭和20年(1945) | 空襲により住吉の蔵が焼失 |
昭和24年(1949) | 剣菱酒造株式会社を御影で再発足(現本社及び内蔵)。白樫政一が社長に就任 |
昭和29年(1954) | 西蔵を譲受 |
昭和38年(1963) | 東蔵を譲受 |
昭和46年(1971) | 義本酒造株式会社を譲受。旭蔵とする |
昭和47年(1972) | 浜蔵、貯蔵庫、瓶詰工場を建設 |
昭和51年(1976) | 浜蔵に精米場を建設 |
昭和53年(1978) | 肥塚酒造株式会社を譲受。中蔵とする |
昭和56年(1981) | 魚崎酒造株式会社(酒造蔵2蔵)を譲受。魚崎蔵・七号蔵とする |
昭和62年(1987) | 瑞祥黒松剣菱 誕生 |
平成元年(1989) | 高速道路神戸湾岸線建設により浜蔵を移築 |
平成3年(1991) | 浜蔵貯蔵庫、宿舎増築 |
平成6年(1994) | 白樫達也が社長に就任 |
平成7年(1995) | 阪神・淡路大震災が発生(1月17日5時46分)。浜蔵以外の木造7蔵が倒壊。4名が犠牲になる |
平成7年(1995) | 魚崎蔵(11月)と中蔵(12月)を再建 |
平成9年(1997) | 本社を補修改築。内蔵を再建 |
平成11年(1999) | 内蔵に貯蔵庫を建設 |
平成14年(2002) | 浜蔵に貯蔵庫を増築 |
平成19年(2007) | 酒蔵として日本で初めて農産物登録検査機関に登録 |
平成20年(2008) | 瑞穂黒松剣菱 誕生。黒松剣菱180ml グッドデザイン賞受賞 |
平成25年(2013) | ホームページおよびフェイスブックを開設 |
平成28年(2016) | グッドデザイン・ロングライフデザイン賞受賞 |
平成29年(2017) | 白樫政孝が社長に就任 |
平成29年(2017) | 浜蔵に木工所を建設 |
平成29年(2017) | 子会社を農業法人化 |
令和1年(2019) | 太藁縄の製造開始 |
令和2年(2020) | 剣菱オンラインショップを開設 |
令和5年(2023) | 木樽の製造販売を開始 |